1-20 エピローグ
「礼!」 「あざッした!!」 センターラインを跨いで頭を下げる両チームに、観客席から惜しみない拍手が送られた。 一悶着あって終了時間が伸びたが、これで武蔵森vs飛葉中、王者vsダークホースの一戦は終決した。2-1。ど […]
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「礼!」 「あざッした!!」 センターラインを跨いで頭を下げる両チームに、観客席から惜しみない拍手が送られた。 一悶着あって終了時間が伸びたが、これで武蔵森vs飛葉中、王者vsダークホースの一戦は終決した。2-1。ど […]
足が痙攣してもつれそうだとか。息ができなくて心臓が飛び出そうだとか。目の前に対峙している敵が、日本一のGKだとか。そういった雑念は、一切頭から消え失せていた。 ただ、前へ。受け取ったボールを、あの枠内に叩き込むことだ […]
藤代が放ったシュートは、ゴールネットを穿つ勢いでポストのギリギリ内側からラインを突き抜けた。 武蔵森陣営の観客席が大いに湧き上がる。試合時間も残すところ15分を切って、1点リード。彼らにとっては格下相手に歯がゆい試合 […]
その後、飛葉中は幾度かの好機を作り出したが、渋沢により修正された守備は固く、崩せないまま逆に1点を返され、前半終了。スコア1-1でハーフタイムを迎えた。 観客たちは怒涛の試合展開に熱狂している。王者武蔵森と、完全なる […]
準決勝、試合会場。ベンチ入りした三上は、無言で相手側ベンチの様子を眺めていた。続々と現れる赤いユニフォーム。選抜合宿で見知った顔を何人か捕捉する。 「おいおい、アイツらよくここまで上がってこれたな。あんなチビばっかでよ […]
「着替え終わったー? 入るよー?」 中から数人の返事を確認し、は「飛葉中」と手書きの貼り紙がされた金属製の扉に手をかけた。 スタジアム内の控え室。赤いユニフォームを纏った彼らが待機している。試合開始まで1時間を切って […]
クラブ入団から半年が経った頃、初めて所属チームの試合を生で観た。 6年生までの選手混合で、近隣の8チームが参加する小規模なトーナメント大会。決勝点を決めたのは、レギュラー最年少、4年生の翼だった。 選手たちの決死の […]
物心ついた頃から、自分はあまりまわりに馴染めない性格だった。 「ね、昨日の最終回見た!? ○○クン、カッコよかったよねー」 「ラストのセリフ最高! 言われてみたーい」 「ちゃんはあのドラマなら誰派!?」 「えっ……、わ […]
「よし、各自休憩! 20分後に集合!」 「ハイッ」 渋沢の号令がかかり、1軍の選手たちは一時の安息を求めグラウンドから散っていった。 30℃をゆうに超える真夏日。頭から水でもかぶりたい気分だ。 それは物陰で張ってい […]
藤代誠二はゲーマーである。ジャンル問わずなんでもやるが、とくに対戦型格闘ゲームは凄腕だ。少なくともクラスや部活の仲間内では敵なしで、無敗記録を更新し続けている。 この日は午前中の部活が休みになったため、気分転換にとサ […]