1-7 2人の距離(第1部完)
「失礼します」 諏訪がそう言って会議室の扉を閉めた。 私を医務室に送り届けるため、車椅子を押して歩き出す。行きと同じルートを逆に進んでいく。無人の廊下。 波乱の面談を終え、解放された私たちは、2人になってしばらく無 […]
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「失礼します」 諏訪がそう言って会議室の扉を閉めた。 私を医務室に送り届けるため、車椅子を押して歩き出す。行きと同じルートを逆に進んでいく。無人の廊下。 波乱の面談を終え、解放された私たちは、2人になってしばらく無 […]
無数の機材が電子音を刻み、化学的なにおいの充満する白い部屋で、私はぼうっと思考を揺らしながら、しばらくされるがままに身を委ねていた。 「緩かったり、辛かったりする部分はないですか?」 「大丈夫です」 問いかけを受け、 […]
彼女ができた。 当時大学1年だった俺は、人生初の彼女に能天気に浮かれていた。 かなり前からそいつに惚れていたし、惚れられている自覚もあったのに、クソ近界民どものせいで何年も待たせるハメになった彼女。正隊員に昇格する […]
「諏訪隊、現着した。待たせたなァ嵐山!」 諏訪はそう叫ぶと、もう1人の隊員を引き連れてこちらに走って来た。短髪の彼、よく見れば堤くんだ。 私は先ほどまでとは全く別の理由で焦り始めていた。諏訪はまだ私に気づいていない。 […]
三門大学の学舎に緊急警報のサイレンが鳴り響いたのは、3限が終わって少し経った頃だった。授業終わり、1階ラウンジで雑談を交わしていた嵐山と柿崎が、すぐに反応して状況確認に入る。 「ゲートだって!? 警戒区域からだいぶ離れ […]
クラスメイトだった私と諏訪が、お互いを異性として意識するようになったタイミングは正確には覚えていない。ただ、毎日ちょっとずつ、学校で2人の時間が増えていき、目が合うたびに募る期待感を、諏訪も感じていたと思う。 高2の […]
彼氏にフラれた。 満を持してそのネタを投下すれば、対面に座った友人は嫌悪感丸出しの顔で「出た」と毒づいた。 傷心の相手にその態度はどうだろう、なんて思わなくもないけど無理もない。彼女にはつい1ヶ月前にも同じような報 […]